『攻殻機動隊 S.A.C.』とは...?
士郎正宗・原作のコミック『攻殻機動隊』は、緻密な世界観構築とダイナミックな戦闘シーン、当時黎明期にあった「ネット」をテーマに、精神世界にまで及ぶ衒学的描写によって、SFファンのみならず、多くの人々を魅了した。
コミック版の世界観を映像化した押井守による『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』は、超高密度の情報量と、圧倒的にリアルな人物描写により、従来のアニメーションの枠を大きく突き抜けて、世界各国から圧倒的な支持を集めている。
コミック、映画に続く第3の『攻殻機動隊』として制作されたのが神山健治監督によるテレビシリーズアニメーション『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』である。
テレビシリーズオリジナルのエピソードをふんだんに盛り込んだ本シリーズは、コミック版、映画版の『攻殻機動隊』とは別の、パラレルワールドのストーリーとして描かれる。
情報化ネットワーク社会における"社会"と"個人"をテーマにした本シリーズは、ともすれば絵空事になりがちな近未来SF世界を「現実の延長線上にある世界」として捉え、説得力のある世界観を構築。高水準の映像クオリティと精緻を極めるストーリーテリングも相まって好評を博し、計52本のシリーズが制作された。
2006年にはOVA『攻殻機動隊 S.A.C. Solid State Society』が制作され、『攻殻機動隊 S.A.C.』の続編を望む声は後を絶たない。
「公安9課」とは...?
レンジャー部隊のサイボーグ、捜査1課の熱血刑事、特A級ハッカーやスナイパー、爆弾処理や情報収集の専門家、さらには判断力と戦略に長け、政治工作もこなす陸上自衛隊情報部出身者など、それぞれの分野に於けるプロフェッショナルが集まって結成された少数精鋭の特殊部隊──それが公安9課です。
そんな公安9課のメンバーを実質的に束ねるのは、「少佐」と呼ばれる全身義体の女性サイボーグ、草薙素子──。
『攻殻機動隊 S.A.C.』シリーズは、素子をはじめとする公安9課の活躍を描いたテレビシリーズアニメーションです。
♯01
公安9課
SECTION-9
新浜市内の料亭で外務大臣が芸者ロボットに拘束される事件発生。現場に駆けつけた公安9課は、陸軍情報部がこの一件に介入したがっていることを知る。直ちに突入し、無事大臣の救出に成功する9課。ところが「一ノ瀬レポート」と呼ばれる機密情報を巡り秘密裏に内偵を進めていた大臣の秘書官は、脳に深刻なダメージを受けていた...。いったい料亭内で何が起きたのか?
♯02
暴走の証明
TESTATION
大手重機メーカー剣菱重工の演習場で、最新型多脚戦車が暴走をはじめた。ただちに内務省より出動要請がなされ、公安9課のメンバーは思考戦車タチコマと共に現場へ急行する。認識コードから、暴走戦車の搭乗者は設計士の加護タケシと判明。ところがこの男、1週間前に死亡が確認されていた...。市街地へとばく進する暴走戦車。はたして公安9課は戦車を食い止められるのか?
♯03
ささやかな反乱
ANDROID AND I
アンドロイドGA07-JL(通称・ジュリ)が、いっせいに自殺をはじめる。可愛いく安価だったこともあり、ジュリはユーザーによる「不適切」なマイナーアップデートを受けることの多い機種だった。「ジェリは自分の運命を呪って自殺したのではないか...?」そんな噂も囁かれる中、公安9課の捜査線上に浮かび上がるある1人の男。彼もまたアンドロイド・ジュリと行動を共にしていた...。
♯04
視覚素子は笑う
INTERCEPTER
本庁時代のトグサの同期・山口が不慮の事故で死亡する。「笑い男」と呼ばれる特A級ハッカーによる企業テロ通称「笑い男事件」特捜部にいる山口は、上層部の不審な動きを察知。彼の死に疑問を持ったトグサは、特捜刑事たちに対し盗視聴覚デバイスが不正使用されていることを掴む。この疑惑を受けただちに会見を開く警視総監。ところがその会見場に、笑い男が現れた!
♯05
マネキドリは謡う
DECOY
会見場で「警視総監暗殺予告」を行った笑い男。特捜部は最重要参考人としてナナオ=Aをマークする。都合よく現われたナナオはデコイ(おとり)であり、警視庁内部の秘密工作の可能性もあると推理する荒巻は、バトーとトグサにナナオの張り込みを命ずる。一方、「笑い男事件」のあらましを再確認した素子はゴーストのささやきに従い、警視総監の護衛に回るのだった。
♯06
模倣者は踊る
MEME
ナナオが、送り込んだ断片化された遅効性ウィルスにより、警視総監を警護するSPが次々に総監に襲いかかる! ウィルスはSPの暗号コードがトリガーとなって発症する...そのはずが、一般市民までもが次々に「笑い男」を名乗り、警視総監に襲いかかってきた! すべては本当に自作自演なのか? あるいは本物の「笑い男」によるものなのか...?
♯07
偶像崇拝
IDOLATER
ニューポートシティに1機の旅客機が降り立った。入国してきたのは、民主革命の指導者にして伝説の英雄マルセロ=ジャーティ。不審な出入国を繰り返すその目的を調査すべく、公安9課が捜査に乗り出した。暗殺されたとの報道もなされる中、彼はある資材倉庫へと車を走らせる。その倉庫は、マルセロ入国の度に異常な電力消費が確認されていた...。
♯08
恵まれし者たち
MISSING HEARTS
提供した覚えがないのに、自分の臓器が勝手に売買されている──。情報提供を受けた素子がとある病院を訪れる。臓器の闇取引を目的とした海外マフィアの集団拉致事件が頻発していることから、公安9課が事件を担当。調べを進める中で、摘出された臓器のラベルを貼り替え証拠隠滅を図る犯人グループと遭遇。素子たちは直ちに彼らを追跡する。
♯09
ネットの闇に棲む男
CHAT! CHAT! CHAT!
ネット上では6年ぶりに姿を現わした笑い男の話題でもちきりとなっていた。ネットの住人たちは「笑い男事件」のそもそものはじまり「セラノ・ゲノミクス社長誘拐事件」までさかのぼって犯人像をプロファイルする。クロマというハンドルネームを使い彼らの討論を傍観していた素子は、ナナオは笑い男ではないかもしれないと疑問を口にする、"知りすぎた男"の存在に着目する。
♯10
密林航路にうってつけの日
JUNGLE CRUISE
新浜市内で連続猟奇殺人事件が発生。米帝からの犯人身柄引渡し要請を受け、バトーとトグサはCIAと共に捜査に乗り出した。「あの悪夢が俺の前に姿を現わしやがった」現場を見て確信するバトー。かつてレンジャー部隊に所属、密林のジャングルへも行軍していた彼には犯人に心当たりがあったのだ。それは米帝の特殊作戦が生み出した悪夢だった...。
♯11
亜成虫の森で
PORTRAITZ
厚生省のデータベースに大規模なハッキングが仕掛けられた。逆探知の結果とある施設からのアクセスであることが判明。そこは電脳閉殻症患者が収容される授産施設だった。荒巻の命を受け、トグサは研修生を装って単身その施設へ潜入捜査を試みる。ネットとの相性が抜群に優れている授産施設の子供たち。その中に、左利きのキャッチャーミットを抱える1人の青年の姿があった。
♯12
タチコマの家出
映画監督の夢
ESCAPE FROM
任務終了後はハンガーに収容されているはずタチコマたち。そのうちの一機が9課を飛び出した!無垢なる好奇心から、ジャンク街に繰り出したタチコマは、迷子の飼い犬を探す1人の少女と出会う。AIで半不死のタチコマには、"ゴースト"の概念はない。ところが少女との出会いを通じて、タチコマにはなんともいいがたいある感情らしきものが芽生えていく...。
♯13
≠テロリスト
NOT EQUAL
16年前、人類解放戦線の亜流セクト「興国の旅団」に誘拐された「戸久良エレクトロニクス」社長の娘、戸久良エカ。彼女が沖縄沖の放射能除去プラントで発見される。ところが海上保安庁SSTにより公安9課に送られてきた写真には、16年前とまったく変わらぬ姿のエカが写っており、DNAも彼女のものと一致。いったいそこで何が起きているのか? 公安9課がプラントへ潜入する!
♯14
全自動資本主義
¥€$
中国華南省出身の暴力団が殺し屋を雇い、日本の大物個人投資家「横瀬兼元」暗殺を計画している──。華南公安局から情報を得た公安9課は、横瀬氏の身辺を固める。ところがこの横瀬氏。人前には一切姿を現わさず、しかも豪邸の中には"ゴースト"を持たない人形たちしかいないという有様だった。豪邸に突入した素子は、そこで資本主義を憎悪する暗殺者と対峙するのだが...。
♯15
機械たちの時間
MACHINES DESIRANTES
狙撃支援システムAIが廃棄処分にされそうなのを目の前にしたタチコマたち。自分たちもそのうち廃棄処分にされてしまうのではないかと不安になる。議論好きなタチコマ、本を読むのが好きなタチコマ。"ゴースト"の存在しないタチコマたちは、個性を獲得しつつあった。しかし、戦闘兵器であるタチコマたちに、個性は不要なものでしかなかった...。
♯16
心の隙間
Ag2O
パラリンピック総合格闘技の銀メダリスト・パブロ=ザイツェフに、スパイ容疑がかかる。陸軍情報部からの要請で、バトーは連隊の一員になりすまし軍施設へと潜入、ザイツェフに接触を図る。訓練所でのスパークリングを通じて、拳と拳で心を通わせるバトーとザイツェフ。ところがザイツェフは「もし見慣れぬ者が身辺に現れたら注意しろ」と、警告を受けていたのだった...。
♯17
未完成ラブロマンスの真相
ANGELS' SHARE
荒巻と素子が国際テロ対策協議でロンドンを訪問。イギリス在住の昔馴染みシーモア婦人の店に立ち寄った荒巻は婦人から相談を持ちかけられる。彼女のワイン・ファンドがマフィアのマネーロンダリングに利用されているらしいというものだ。その時、強盗による襲撃受ける。素子はバックアップのない外国の地で2人を助けられるのか...?
♯18
暗殺の二重奏
LOST HERITAGE
戦没者慰霊碑訪問のため、中国より金外務次官が来日。中国公安部からの情報により、9課は外務大臣暗殺計画の容疑者を割り出すが、荒巻は驚きを隠せない。容疑者は荒巻のかつての同僚で、6年前にこの世を去った陸自調査部長辻崎莞爾一佐の息子・辻崎ユウ。9課の動きを先読みする彼の行動は、まるで父親が乗り移ったかのような、老獪な諜報員さながらだった。
♯19
偽装網に抱かれて
CAPTIVATED
元総理大臣神崎修三の一人娘・神崎玲子が繁華街で姿を消した。犯行手口が"目隠しイワン"と呼ばれるロシアンマフィアに極めて近いことから、公安9課は組織犯罪の線で捜査を進めていく。ところが神崎元総理は公務期間中「集団拉致否定発言」によって、ロシアの擁護派として知られていた人物。神埼元総理の娘を拉致したロシアンマフィアの思惑とは、はたして...?
♯20
消された薬
RE-VIEW
特A級のハッキングテクニックを持ちながら、その技術力に似つかわしくないアナクロな行動が目立つ「笑い男」。「彼はハッキングが得意だからこそ、書き換え可能な電子情報に価値を見出していないのでは?」素子に進言したトグサは、紙媒体の証拠を探しはじめる。単身、厚生労働省に赴き、膨大な資料に目を通す中で、トグサは闇に葬り去られた「村井ワクチン」の真実を知る。
♯21
置き去りの軌跡
ERASER
事件の真実に迫ったトグサが、麻薬取締強制介入班の襲撃で負傷、昏睡状態に陥る。9課はトグサの電脳から記憶を抜き出し、村井ワクチン接種者リストをリークしたとされる中央薬事審議会理事長・今来栖尚確保に乗り出す。時を同じくして、証拠隠滅のため強制介入班もまた今来栖を追跡。素子は強制介入班の新型アームスーツと対決する!
♯22
疑獄
SCANDAL
荒巻は強制介入班の裏で糸を引いていた厚生省医薬局新美局長を逮捕。これを機に公安9課は事件の真相を一気に攻め込もうとしていた。そんな折、荒巻が強制介入班残党の策略に落ちてしまう! 一方、新型アームスーツとの戦闘で義体が大破してしまい、新しい義体に交換しようとしていた草薙素子にも、強制介入班残党の手が伸びていた...。
♯23
善悪の彼岸
EQUINOX
拘留中の新見局長が電脳自殺を図り、すべての証拠は消されてしまった。黒幕である薬島幹事長と一連の「笑い男事件」を結び付ける唯一の証拠──それは6年前に誘拐されたセラノ・ゲノミクス社のアーネスト瀬良野社長のみだった。事件後、警護という名の下に常に監視状態に置かれている瀬良野社長。彼の前に、6年前と同じように笑い男が姿を現わした。
♯24
孤城落日
ANNIHILATION
瀬良野氏誘拐未遂事件に関与したとして、公安9課が世間の批判を集める。荒巻は総理大臣に薬島幹事長逮捕を進言。総理は同意するが、国家反逆罪の濡れ衣を着せられた公安9課壊滅のため、海軍特部隊がすでに突入準備を始めていた。対する9課は施設を破棄。素子以下メンバーたちはそれぞれに逃走するのだが...。
♯25
硝煙弾雨
BARRAGE
バラバラに散って街に潜伏していた公安9課のメンバーが次々に拘束されていく。追っ手から逃れていたバトーは、ある目的を果たすため、素子のセーフハウスを訪れる。だが、そこはすでに海軍特殊部隊の監視下にあり、バトーはアームスーツと対決。まさに危機一髪というそのとき、バトーは思いもよらぬ援軍に助けられる。
♯26
公安9課、再び
STAND ALONE COMPLEX
「9課壊滅」の報道がなされる中で、トグサは1人釈放され、自宅待機を命じられる。そのころ世間は「薬島与党幹事長逮捕」に沸き立っていた。だが、公表される真実はどれも9課が捜査し集めてきた事実である。義憤の念に耐えられず、トグサは拳銃と『ライ麦畑』をポケットに放り込むと、与党本部へと向かう。
♯01
再起動
REEMBODY
「個別の十一人」を名乗る犯人グループが中国大使館を占拠した。犯人たちの要求は、アジア難民受け入れの即時撤廃と、招慰難民居住区の完全封鎖。新総理茅葺(かやぶき)との駆け引きの末、公安9課再建を引き出した荒巻は、素子たちに大使館への突入を命ずる。はたして公安9課は人質に犠牲者を出すことなく事態を収拾できるのか?
♯02
飽食の僕
NIGHT CRUISE
民間ヘリのパイロットとして働くギノ。彼は大衆を洗脳し利益を貪るマスコミを憎悪し、ヘリの常連客でもある3大ネットワークの会長・片倉を暗殺するという妄想に取り付かれる。自分が死んだら世界に真実を明かしてほしい──。そんなギノは高級娼婦のヒララに想いを寄せはじめるのだが...。現実に、僅かな希望と苛立ちを抱く、不特定多数のうちの1人の物語。
♯03
土曜の夜と日曜の朝
CASH EYE
経団連会長・田所のビルに「キャッシュアイ」を名乗る強盗が侵入、犯行予告状を残していく。その予告状で指定された日時は田所主催のパーティー開催日だ。ただちに田所は公安9課にパーティーの警備を依頼。素子は妖艶なドレス姿で乗り込んでいく...。本来9課が担当すべきではないような案件を引き受けた荒巻と9課の真意とは...?
♯04
天敵
NATURAL ENEMY
陸自の攻撃ヘリが演習中に暴走を始めた。計11機の暴走ヘリが招慰難民居住区の上空を旋回。墜落すれば大惨事になりかねない。公安9課に現場の指揮件が移譲されるが、その作戦はすべて内閣情報庁戦略影響調査会議代表補佐官のゴーダが指揮をすることになる...。はたして9課はヘリの暴走を食い止められるのか?
♯05
動機ある者たち
INDUCTANCE
総理暗殺をほのめかす脅迫文が茅葺総理に届き、公安9課が首相の警護を担当する。周囲の反対をよそに、阿蘇の禅寺に赴く茅葺を守るべく、万全の体性で待ち構える9課。そして、厳重な警備網をかいくぐり、茅葺を襲うハイスペック義体の男「クゼ」。茅葺の警護についていた素子は、そのクゼと対峙することになるが...。
♯06
潜在熱源
EXCAVATION
エネルギー省を脅迫していた男が謎の死を遂げた。真相究明のためトグサは大戦後、招慰難民居住区と化した東京へ向かう。そこでトグサは死んだ男と交際していたという女性アサギ=ルリコと出会う。男の無実を訴えるルリコ。2人は男が新宿大深度地下施設に潜り、発掘調査に参加していたことを突き止める。だがそこは、政府にとって"存在しないはず"の施設だった。
♯07
狂想は亡国の調べ
239,94Pu
新宿大深度地下原発から回収されたプロトニウム燃料棒を輸送する軍主導の計画が、テロリストに漏洩した。急遽、陸路における燃料棒の輸送を公安9課が担当。代表として作戦指揮をとるため、再び9課と合流するゴーダ。9課のメンバーはそれぞれに不満を感じつつも、現地の陸自隊員と共に輸送任務を開始する。ところがゴーダの一言から、事態は思いもよらぬ展開を見せていく。
♯08
素食の晩餐
FAKE FOOD
内閣情報庁による情報操作や政府による公安9課への外圧。一連の「個別の十一人」事件に関して蚊帳の外に置かれる公安9課は、独自の捜査に乗り出した。捜査線上に浮上したのは台湾素食の調理人カワシマ・ショー。バトーとトグサは彼の勤める料理店で24時間の行確を開始する。ところが荒巻は、公安9課とは別に公安1課もカワシマ確保に動いていることを突き止める。
♯09
絶望という名の希望
AMBIVALENCE
犯行予告を行なった上で無差別に民間人を巻き込む自爆テロが頻発。公安9課は最後の自爆テロを防ぐべく、奔走。テロを起こしているのが義体化難民たちであることを掴む。一方、内庁の巨大端末「デカトンケイル」にダイブし、電脳空間上でゴーダの仮想人格と対峙する素子。そこでゴーダは「不在による憎しみの連鎖はもう止まらない」と不気味に言い放つ。
♯10
イカレルオトコ
TRIAL
非番中、事件に巻き込まれた被害者を助けるべく犯人に発砲してしまったトグサは、証人として出廷。ところが弁護士ウエダの策略により、証人から被告人に挿げ替えられてしまう。「こんなインチキ公判では亡くなった被害者が浮かばれない」追い詰められ、最後の証言台に立たされていたトグサは、己の辞職と引き換えに、ある行動に出るが...。
♯11
草迷宮
affection
公安9課の採用試験で新人の尾行をまいた素子は、見たこともない路地に迷い込み、骨董品屋と見紛う一軒の店に立ち寄る。そこで素子は、外部記憶装置を客から預かる商いをしているという1人の老婆と出会う。店内にあった男の子と女の子の義体に興味を引き寄せられる素子。老婆は2体の子供の義体にまつわる、ある物語を語りはじめた。
♯12
名も無き者へ
SELECON
長崎沿岸でクゼの目撃情報が入る。「個別の十一人」がウィルスによって発症するのだとしたら、彼の電脳にその証拠が残されている可能性があるし、上手く解析できれば、個別の十一人の動きを封じれるかもしれない──。公安9課の面々はクゼを生け捕りにすべく追跡を開始。ところが、九州タワー屋上に姿を現わした個別の十一人が、世間を震撼させるある行動を取りはじめた!
♯13
顔
MAKE UP
表情を拝してもなお"いい顔"をしているクゼ。彼の顔は、腕のい造顔作家によるものではないか──。急遽、ある造顔作家が浮かび上がり、公安9課がアトリエに向かう。ところがすでに造顔作家は殺された直後で、現場に残された防犯カメラの映像には、なんとパズの姿が映し出されていた! 「ここからは俺1人で追わせてくれ」パズは自身への疑いを晴らすため、単独捜査に乗り出す。
♯14
左眼に気をつけろ
POKER FACE
2020年夏、サイトーが反政府軍の傭兵としてメキシコに従軍していたときのこと。悪化の一途をたどる戦況の中、投降の機会を窺っていたサイトーは、敵特殊部隊が戦術核を持ち込んだことを知る。「そんな不届き者に神の目線から恐怖を与える──」。サイトーは特殊部隊にスナイピングを仕掛けるが、その中には若き日の素子がいた...。はたしてサイトーが左眼を失った理由とは?
♯15
機械たちの午後
PAT.
播磨学園都市で爆発騒ぎが起きた。国定研究員・有須田博士が爆発に巻き込まれた可能性があったが、博士の所在は確認できない。彼のデータを照合するうちに、不思議な既視感に囚われるタチコマ。本来デジタルで思考するタチコマに、なぜ「思い出せそうで思い出せない」という感覚が芽生えたのか? いったいタチコマと有須田博士を結びつけるある事実とは?
♯16
そこにいること
ANOTHER CHANCE
新義州から帰国したイシカワは、クゼに関する重要な情報を掴んでいた。2024年、自衛軍の義体化歩兵部隊として内乱続く小国へと派遣されたクゼ。醜い略奪行為を目にしたクゼの部隊は、人民軍との戦火を開く。ところが義体化精鋭部隊とやせ衰えた生身の人民軍との戦闘は酸鼻を極め、戦闘の記憶が駐留する兵士たちの精神を蝕みはじめる...。
♯17
修好母子
RED DATA
クゼを追って台湾入りする素子。地元ヤクザに絡まれていた少年を助けてしまい行動を共にする。現地で難民を統率する指導者だったというクゼ。彼はどうやって電脳化もしていない難民たちと思考を並列化していたのか?「ゴーストの残り火は自分を知ってくれた者のために使う」そう語っていたというクゼに憧れる少年は、単独でヤクザとの麻薬取引に向かう。
♯18
天使の詩
TRANS PARENT
単独犯として史上最大の犠牲者を出したテロリスト"天使の羽根"。彼は爆弾テロを起こす前、必ずベルリンに立ち寄っていることが判明した。素子とバトーは日本からベルリンに応援に駆けつけ、各国特殊部隊の選抜隊員として参加していた。そんな折、バトーは孤児院で暮らす車椅子の少女が、"天使の羽根"の1人娘であることを掴むが、その事実を捜査本部に報告せずにいた...。
♯19
相対の連鎖
CHAIN REACTION
難民たちが出島に集まりはじめ、ついに自治区宣言がなされた。公安9課は難民を指導するクゼを追って出島に向かう。一方、素子はクゼのハブ電脳に侵入し、現在位置を突き止めようとする。が次の瞬間、素子はのけぞって意識を失った! ただちに接続が遮断され、意識を回復した素子はつぶやく。「私は、こいつを知っているぞ...?」はたして9課はクゼを押さえることができるのか?
♯20
北端の混迷
FABRICATE FOG
元ロシア軍士官ボリス・ジャブロフとその部下者数名が、本国からプルトニウム20キロを持ち出し、択捉入りを果たした。クゼは買い取った核で武装し、独立国を名乗ろうとしているのか? 難民に核が渡り、軍の介入が始まれば戦争が勃発してしまう。公安9課は択捉へ急行、クゼを押さえようとするが、そこではすでに難民と陸自のアームスーツが、戦闘を開始していたのだった。
♯21
敗走
EMBARRASSMENT
公安9課の追っ手を振り切り、かろうじてプロトニウムを手に入れたクゼの偽装船が出島へ向かった。9課は空から追跡しようとするものの、クゼの教えに強い感銘を覚えた少年により、目前でティルトローターが爆発。メンバーの死亡、負傷、さらに移動手段までも失い、完敗を喫す公安9課。一方、偽装船は出島を目前にして、海上保安庁の巡視艇から攻撃を受けていた...。
♯22
無人街
REVERSAL PROCESS
福岡で核爆弾が発見された。爆発すれば半径30キロが放射能に汚染される──。爆弾を仕掛けたのは難民か? 疑心暗鬼に陥った国民の憎しみの連鎖は、もはや留まるところをしらない。最悪の事態を回避すべく、公安9課は核爆弾の解体とプロトニウムの回収に向かう。一方、バトーは核爆弾が仕掛けられた九州電波塔の屋上で、内庁のゴーダと対峙していた。
♯23
橋が落ちる日
MARTIAL LAW
政府が出島への自衛軍出動を決定する。そんなさ中、荒巻の進言で茅葺は国連に核査察団の要請を出した。上手くいけば2日後には査察団が来日する。そのタイミングでプルトニウムを引き渡せれば、この事態を収束できる可能性は高い。一方、出島大橋では軍と難民たちの睨み合いがつづいていた。ところが、1発の銃声が最悪の事態を引き起こすのだった。
♯24
出島、空爆
NUCLEAR POWER
自衛軍による出島空爆が開始された。ヘリで出島へ侵入する公安9課。降下中、陸自のヘリに攻撃を受け、素子が振り落とされてしまう。何とか無事着地した素子は、クゼを見つけ出そうと単独行動に出る。一方、プロトニウムを抱えたバトーたちは、光学式迷彩を装備するレンジャー4課の追跡を受けていた...。そして事態が緊迫の度を増す中、沖縄環礁に米帝の原子力潜水艦が出現する!
♯25
楽園の向こうへ
THIS SIDE OF JUSTICE
クゼとの邂逅を果たした素子だったが、自衛軍の空爆に巻き込まれ、クゼと共に2人は瓦礫の中に閉じ込められてしまう。出島内で奔走するバトーたち。更迭および幽閉されていた茅葺をトグサとプロトと共に救い出した荒巻は、米帝の動きを阻止するため、政治的手腕を行使しようとしていた。だが米帝の原子力潜水艦はすでにミサイル発射管を開き、核攻撃のカウントダウンを開始していた!
♯26
憂国への帰還
ENDLESS∞GIG
出島への核攻撃が迫る中、クゼと素子は電脳空間にある可処分領域に300万人に及ぶ難民の記憶をサルベージしようとする。そんな素子を探し出島を走るバトー。必死に政治工作を試みる荒巻。それぞれの想いが錯綜する中で、ついに米帝の原潜から核ミサイルが発射される! ゴーダの思惑が帰結してしまうのか。公安9課は最悪の事態を回避できるのか。事態はいよいよ最終局面を迎える。